10月は「読まれるエッセイに近づく方法」を勉強しました。
1、歯切れよくリズム感を持たせるにはどうするか。
羽馬礼がいいとよう言いますが、これは言い方が明瞭なこと。つまり意味明快であること。
これが文章にもあてはまります。
2、シンプル・イズ・ベスト
文章における「歯切れの良さ」とは簡潔であることに尽きます。あれこれなんでも盛り込まないで、
表現がストレートであること。言いたいことを自分の中で決めて取り組みましょう。
3、ユーモア、ウイットはエッセイの華
これが難しいのですが、自分のいじましさ、欠点など、隠すことなく、愛着を持って描写すると
人間らしいぬくもりが出てきます。読者へのサービス精神ですね。
プロの作品から学びます。数学、科学、料理など専門分野を持つ人たちの作品が面白いので、おすすめです。
今年は生徒さんの作品を冊子にまとめます。それぞれ5、6本。ほかの生徒さんの作品を読むことも大切な勉強です。
また冊子にする製本作業も楽しんでいます。
その前に、生徒さんたちが、私をねぎらって食事会を開いたくれました。優しさ に溢れた場を作ってくれ、ありがたさで胸が一杯に。「ずっとここで書き続けるからよろしく」と言われ、背中を押されました。ものを書く仲間の思いの豊かさ を改めて感じました。
場を変えてのエッセイ塾では「カギ括弧」の使い方
これを熟知しているのとそうでないのとは、文章に大差が出ます。まずくどくど 説明しなくても登場人物と状況を表現できるので覚えておきたい。
▽不適切な使い方の場合
データを紹介しただけのものが多い。それだけなら地の文でもいいはず。
▽これはというところに1回だけ使いたい
▽カギ括弧とは
突然文章に異物として挿入するのが本来の使い方。 説明のために使うのはもったいない。地の文で表せない要素、その人の肉声や気分など ナマの情報を盛るための武器と考えたい。
なかなか難しいものですが、豊富な擬態語を使うことも考えるといいようですね。
例:「わっ、驚いた」→「ギャア~」 こんな感じです。
7月の塾は、コロナ禍の今を身近な問題としてどう描くか勉強しました。
例として紹介したのは次の文
「平和な時代には自分のことだけ考えて生きていればよかった。
社会がある程度まともであれば人は自由に人生を生きればいい。
でも社会が限度を超えて壊れていくとき、自分がいかに社会の影響下で生きているかに気付いた。
自分だけ自由に平和に生きることなど不可能だ。
今こそ個々が社会のために行動するしかない。
その選択が自分の人類の未来を決めるのだ、なんてね」
エッセイは今を生きる自分を表現するもの。社会と切り離しては書けません。その視点こそが書く眼となります。
〇エッセイとは、過去も現在も将来もひっくるめて自分を徹底的に研究するということ。
夫、子どもが何を考えているか分からない。
でも自分のことは分かるはず。
自分がその中心にいて、生きている世界の中に、もう一度自分を位置づける。
エッセイとはそんな大変な大冒険をやっていることになります。
〇自分が使おうとしている言葉の出生をいちいち訪ねる大切さを指摘。
自分が書きつける言葉にいちいち責任を持つことが大事です。
観念的ではなく具体的に。理屈ではなく具体的に書きましょう。
〇文章で大事な3つのこと。「誠実さ」「明晰さ」「わかりやすさ」
「明晰さ」とは、自分のものの考え方の展開とか、自分が今、
何をやろうとしているのか
しっかり知っているという意味の明晰さです。
作家・井上ひさし『文章読本』から
「なんのために、なにを、どのように書こうとしているのか。
それを必死で考えることが、とりあえず文章の材料になる。
なんのために、なにを、どのように~」
〇ゆっくり過程を楽しみながら進める
エッセイは完成させることが目的ではありません。
どう書いていくか試行錯誤していく行為こそ「書くこと」
日々いろんなことがあるなかで、生きる自分を愛おしむ自分でいることが大切です。
やはり直接会って話し合う楽しさ、心地よさをヒシヒシと感じました。
生徒さんたちも会場に入るとそれは嬉しそうでした。
ひとりで書くなんて、やっぱり至難の技。休み中に出した宿題が送られてきたのは数人でした。
たぶん私でも書けなかつたかも。書いた方に感謝です。
今号と来月の宿題は、コロナ禍の日々としました。
今私たちが生きている時代は、稀有な時と言えそう。
大震災、リーマンショック、コロナなど。
究極、自分がどうやつてこれからを生きるのか、
直面する事態にどう行動できるか、試された日々でした。
コロナのように大事件となると、報道をなぞるような書き方になりがち。
エッセイでは自分を起点にモノを見るので、それはなし。
なかなかの作品が並び、読み合っていると2時間があっという間。
鳥の生きる様から、自然体で生きることを書いた人、
人とつるむのが嫌いでいつもひとり行動をしていた人は、
いかに自分が人恋しかったか思いしらされたこと、
宣言から自粛解除までの毎日を日記のように書いた人もいました。
自分や家族、周りの思わぬ変化に戸惑いつつ、前向きなのが良かったですね。
この時代をちゃんと書くということから来月も宿題は「自粛はとけたけれど」です。
どんな切り口がでるか楽しみです。
今回のエッセイ塾では、全員が作品を書いてきて、読み合ったのでずいぶん時間がかかりましたが、人の作品を聴き、批評するのはとても勉強になります。
自分にはない視点が分かるからです。今年は全員が自分だけの本の出版を目指すので、刺激にもなりますね。
①今年の課題は「些細なことをいいかげんにしない」
作家・竹西寛子 「最少のことをいい加減にしない。
具体的なことをしかと見つめ、感じ、ゆるがせにしない。
そういう確かなことの積み重ねこそが大切なのだ」と紹介している。
ひとつひとつの具体的な事実を淡々とあげながら、
言いたいことを表現していこう。
②イヤな表現、言葉は使わない
カタカナ用語の省略、居心地の悪い言葉は使わない。
「恋愛するときれいになる」「男って、女って」
もっと自分の言葉に、「自分の思い」「自分の意思」「自分の感触」
を染み込ませたい。
演習 いやだと思う言葉をあげてみよう、なぜいやなのか、
恥ずかしくなるのか。言葉に対する自分の感覚を鍛えることになる
③推敲の仕方 〇伝えたいと思っていることがはっきり浮かび上がっているか
〇文章がここちよく流れているか
〇書き出しがモタモタしていないか
〇過剰な表現がないか
〇詰め込み過ぎて文章が窮屈になっていないか
〇結びの文章の収まりがいいかどうか
〇漢字が多すぎて、ページ全体が黒っぽくなっているということはないか
〇文末が単調になっていないか。
〇「である」が多くないか。
〇美しい。おいしい等の表現が何回も出てきてはいないか
④初めて書く方に
長い文が苦手な方には、まず5行で書くことをお勧めします。
ちょっとした面白いこと、楽しいことを日常の暮らしから拾ってみましょう。
例 Aさんの原稿
ある日帰宅するとリビングに灯りが。夫に「ありがとう」というと、「何が?」と。
てっきり夫が気をきかせて灯りをつけてくれたと思ったのに、単に夫が消し忘れてた為
と判明。でも明るい家に入れてよかった。老いるのもいいのかも。と思った日でした。
1月のエッセイ塾は全員のここ2年近くの作品をまとめた 文集づくりにとりかかりました。
掲載した作品は18本。珠玉の作品です。
「季節の巡りに」「日々のこと」「触れ合い」「つれづれに」
と4つの章を設け てまとめています。
今回は、まためた作品に糸を通す穴を開けるなど途中まで行こない、
2月はそれ ぞれが作成したものを持ち寄り、 軽くおいしいお菓子と飲み物で
完成を祝います。仲間の作品をじっくり読めるのが魅力です。
写真は完成途中の文集。
12月のエッセイ塾は生徒さんの出版パーティを開きました。
前月にも、もうひとりの出版パーティがあり、奮闘が続いています。
エッセイ塾では生徒さんが本をまとめると必ず出版パーティでお祝いします。
一品持ち寄りで。本にまとめるには大変な努力が必要で、その労をねぎらい、
ともに喜ぶことにしています。特に今回の本は、長年胸につかえていた夫婦間のことを赤裸々に描いているだけに
勇気も必要だったようです。
みんなからは自分の家庭、夫婦のことを改めて考えさせられるものになったことや、
今自分が抱えている問題などが率直に次々出され、真剣でいて、あたたかい場となりました。
事情もあってなかなか参加できなかったという人らは「こういう場こそ求めていたところ」と、喜んでいました。
出版パーティには病気などで来れなくなった方にも必ず声をかけていますが、この日も2人参加。
80代後半の方たちですが、文章がうまくて、みなさんの憧れの的。みんなの励みになっています。
1月はここ2年間の作品を文集というか、本にします。製本も自分たちで。
楽しい作業となりそうです。