8月のエッセイ塾は「ことば」について
〇信濃毎日新聞に「ことばのしおり」としてエッセイを連載している堀井正子氏 の著書から勉強しました。
ことばが「見つけてくれるのを待っている」という表現は印象的で、参加者も 表現力について考えさせられることがあったようです。
今回の宿題は堀井氏の著書に出ているテーマに。「恩送り」と「お福わけ」です。
〇なぜ説明が必要になるか
気になるのが「自分にしか分からない」エッセイが目立つこと。
話し言葉は相手が側にいて、ここで私がこう感じてるという共有があるので省略が可能ですが、 書き言葉は暗黙の共有はありえません。
だれがいつ見ても分かるように書く=暗黙の了解のない人に伝える方法=これがエッセイです。
作家・三宮麻由子の「究極の履物」を読み合い、音を自分 の心で受け止める大切さを学びました。
また、書くためにイメージを広げるためにどうするかを勉強。具体的にはひらめ き、感じること、疑問に思うことの必要性を強調。練習問題として、 「もしも~なら」という言葉を使ってさまざまな状況を仮定してエッセイを書き ました。 これは、この設定は自由で楽しく、想像力を鍛えます。
5月19日のエッセイ塾は参加者の方のおもたせ満載で、おいしくいただきながら勉強。
小菅村から来ているCさんは蕨。色が濃緑で、その色合いの見事さに惹かれました。 わさびをすりおろし、村のこんにゃくもまぜていただきました。
Cさんは沖縄から送 られてきたというモズクも持参。初めて見る太目もずく。でポン酢で。歯ごたえがあり、うまい。
Sさんは友人から届いたジャム。パンもお供に持ってきてくれ、Aさんはゼリー。 勉強は口が落ち着いてから。
今回は新しい方もいるので、初歩「原稿の作り方、 なぜ書くか、書くときのルール」を学びました。「なかなか書けない」 「自分の気持ちと言葉がかい離していてすすまない」「こんなこと書いてもしようがないと思ってしまう」 などの悩みが出されましたが、申し訳ないけど言っちゃいましたね。
「いい人ぶってるんじゃない? ウソつきでねたましくて、意地悪で、 人がうらやましく、努力するより楽したい。そんな自分を隠していいカッコしてるから書けないの。
こんな人って思われたらやだなんて。人間なんてみんなそうなのに。今の自分を書けばいい。 書くことは生き方なんだから~」なんて。
でもそれは私自身のことでもありました。
4月は「語感の広がり」を勉強しました。
イ、言葉にくっついていてくるもの
「清楚なおかみさん」「楚々とした医師」とは言わない。言葉自身に「若い 女性」 という 語感がしみついていて、それまで何について使ってきたか対象のな ごりのようなものが語感として働くため。 「恰幅のいい女子高生」「豊満な男性」等、意味としてはありうるはずなのに違 和感があるのは、性の語感と衝突するためといわれる。
「ふるさとのいでゆ」=身も心もゆったり
「出身地の温泉」=のんびりした気分にならない
言葉には、それぞれが指してきた対象の性別・年齢・イメージ・固定観念の偏り からさまざまな語感が働いている。
ロ、言葉の緊張感
葉とはっぱ、火事と火災、いのちと生命、寮と寄宿舎 かしこまった感じとそう でない感じがある。 ハ、くつろぎと品位
ご飯を食べる、めしを食う
このように言葉に染みついているものを「言葉の体臭」という。
文章表現の土台は観察にあり。観察力をつける訓練をしました。今回は「音」に こだわりました。
日常でも顔を洗うときは水道の音、煮たり焼いたりの音、洗濯機や掃除機等観察 対象がたくさん。それを自分なりの表現で表します。
家の中にいて聞こえて来るさまざまな音、通り過ぎる子どもの声、遠ざかる電車 の音、ペットたちの動きと音、身近なものたちが示す動きや音は絶好の観察対象 です。
書くときの注意は、擬声語・擬態語をうまく使うこと。ただ使い古された言葉は 禁止。耳を澄ませば自分にしか届かない音があるはずです
◇2月のエッセイ塾は、好きな作家の作品を持ち寄り読みました
鋭い描写、なかなか思いつかない表現があり、「やっぱりプロは違う。まだまだだね」と笑い合 う場面もありました。
宿題は「心にのこること」「駅」。
6人が読み上げましたが、多彩なテーマで、それもおおいに勉強になりました。
「若いころ、自殺しかけたこと」「単身赴任の夫と待ち合せた駅のホーム」 「友人と旅行したときの滑稽なできごと」「電車の中で遭遇してしまった粗相した年 配の方のこと」。
しんみりしたり、奇抜な出来事に目を丸くしたり、みんなで勉 強する醍醐味です。
講義は「表現力をどう高めるか」
〇「思う」や「言う」を別の表現、いいまわしでどのくらい言えるか挑戦。
〇感情表現を抑えて書く
読む人は筆者の感情に関心があるのではない。感情の動きを触発した事実に関心を持つ。追体験の世界とこころえて。
〇発見を伝える表現方法の豊かさがカギ
しっかり伝えるためにはそれなくしては伝わらないそのまま表現するのか、比喩を使うか考えよう
〇不慣れな敬語はやめること
使い慣れない敬語は文章がまわりくどくなる。まずは敬語をやめ、 「です・ます」調で丁寧に書いていくことが大切
1月のエッセイ塾は 意図が正しく受け止められるように、正確な言葉づかいを 使う大切さを学びました。
年配の方は長年、慣習として漢字を多用しています。今書くものなので、もし自 分が納得するなら、漢字の使い方に気を配っていきましょう。
▽接続詞、代名詞、副詞、連体詞などはかな
・したがって、また、よほど等
・動詞も、ある、いる、なるはかな
新聞によく目をとおしましょう。
▽日常よく使う言葉の例です。
・6ヶ月→6か月、6カ月 3ヶ所→3箇所 一早く→いち早く等
▽間違って覚えているものが結構あります。もう一度振り返ってみましょう。
・「一姫二太郎」は、子どもの生まれる順序で子どもの数ではない ・「役不足」とは、実力からすると低くふさわしくないという意味 ▽「早い」と「速い」の使い方
・「早い」―時間関係
・「速い」―主に速度についてのはやさ
▽符号の表記の間違い
・~(ナミガタ)は数字を表すときは住所番地に使いません 「3~7」は「3、4、5、6、7」の意味です
・住所では 〇〇町3-5-6 か「ノ」を入れます。