2008年のエッセイ塾の模様

 

「心をつかむ文章を書くには事実を大切にして」

 

うまく書けない、という悩みこそクセモノ。「うまく」とはプロの文章を頭に描いていませんか。みなさんはプロになろうなんて思っていないのですから、まず「うまく」書こういう気持ちは一切捨てること。それに読者が詠みたいのはあなた自身の固有の事実から何を感じ、考えているかということなのだから、そこを書くことに徹しましょう。

 

今回は生徒さんのひとりのエッセイを全員に紹介しました。「ゼンマイ」という題名で、彼女の故郷では帰ったら必ずゼンマイがふるまわれるそうです。貴重で栄養があり、ごちそうなのです。幼いころ、おじいさんがそれは採るのがうまかったとか。ゼンマイそのものの性質もよく調べて紹介し、農村では出産する女には近所からいろんなものが持ち寄られたそうで、つまり助け合っていたということですが、その中に、重箱一杯ゼンマイの煮付けをもって来た家があったとか。体にとてもいいからでしょう。でも今ではゼンマイもあまり山では採れなくなっているそうな。そんな話でした。この方は料理をテーマにしたものがとてもうまく、自分が幼いころ体験した事実を丹念に書いています。この方にしか書けないエッセイです。

 

宿題は、自分の体のどこかを題材にしたものを書くこと。手とか足とか。むろん自分のものではなくても構いません。

この際よおく見つめてみてはいかが。新たな発見があるかも知れませんね。

 

どうしたら個性的な文章が作れるのか

 

エッセイとは、心の中にあるもの、伝えたいもの、知らせたいものを素直にそのまんま書いていくことにほかなりません。例えば、料理を作るときも、レシピを頭に描いて、段取りを考えてとりかかります。買出しに行き、材料にあった下処理をし、調味料を使います。そして盛り付け。特別な食材は買うことはありません。素材がよくて、レシピがしっかりしていて、火加減が適切なら、おいしい料理ができます。エッセイも同様です。何を書くか、何を伝えたいかをまず考え、それを伝えるための材料を整え、ぴりっとひねった調味料を入れ、全体を通して分かるよう、いわば盛り付けをちゃんとして差し出すという具合です。2、どこが自分の個性なのか分からなということについて

 

● 読みやすい文章の作り方

 

同じ言葉・表現の繰り返しをやめること、 無意味な接続詞などを削ること。 接続詞は推敲で大胆に切ってみること。 漢字の多用、ひらがなばかりを避けること

 

● 講義の中で特に触れたのが「パソコンの罪」

 

塾ではパソコン派は少数ですが、できないことを、普段周りの人にいわれ、なんとなく自信をなくしているため。パソコンはできた方が世界も広がるし、便利なツールですが、どうしてもできない、したくない人には積極的やらないことをすすめています。だって数十年前にはこういう機器はありませんでした。

 

むしろ塾では鉛筆と消しゴムで原稿を書くことをすすめています。文章を書くことはむろんですが、考え、手で書き、辞書で調べ、違っていたら、消しゴムで消して訂正する。つまり集中して表現を練ることができるからです。パソコンができる人はたくさんいるわけですから、したくない人は胸はってやめて、できる人にやってもらうこと、むしろそれを習熟するのに時間・手間がかかり、イライラするくらいなら、やめることをすすめます。自分の生活を考えて必要なことを必要なだけやるということでいいのではないでしょうか。

 

● 語彙不足を補うための小さなメモノートのおすすめ

 

100円ショップで小さなノート、いつも持ち歩けるようにハンドバックに入るくらいのもの。電車の中や買い物、新聞などでちょっといいなあと感じたことをパッとメモをしておくこと。自分が文章を書くときにおおいに役立ちます。

 

● おおいに公共物を利用すること

 

みんなちゃんと税金を払っているのですから、図書館などをおおいに活用し、お金を使わない方法で勉強することをすすめています。むろん気に入ったものは手元においておいた方がいいので、そのときは自腹で。ただ書くための調査などには大いに図書館を利用することです。

 

● 新しい生徒さんが参加。娘さん一家と暮らしている方でした。

 

「このまま年をとって死んでいくのかと思うとつらい。何か自分のためにやりたい。ひとりで書いていてもつまらないから」というのがきっかけ。みんなすすみ方は違うので、自分の書きたいものを自分のペースでやっていこうと話し合いました。女性の場合、家事などでいろいろ不測の事態が起こり、定期的に何かを続けることは難しいのが現状。ここでは基本的には毎月第2土曜と決まっていますが、来れない場合はそれぞれにあわせて時間も日も決めているのでやりやすいとの感想でした。またその方が一番驚いていたのは、「参加している方の顔が生き生きしていること」。そういわれたみなさん、大笑いで「だからあなたもおいでよね。一人じゃつまんないから」とのことでした。

 

今週はもう二人塾の生徒さんが増えました。70代と60代の方ですが、仕事をしているので、時間も日も各自決めていくことにし、

マンツーマンでスタート。

 

みなさんに共通して強調したのは、「ここまで家族のために力も心も体も使ってきたのでから、熟に通う1年くらい自分のために時間を使おう」ということでした。

 

● 自分の好きな作家のエッセイをひとつ持参して読みあいました。いい作品を声に出して読むのが勉強になります。

 

 

● 書いていて楽しいことが大切

 

 この時間を楽しむこと、継続している自分をほめてあげよう

不明なものにであったら素直にそう書く。間違っても憶測や想像を広げないこと、 背伸びしない。飾らない。ないものを書かない